交通事故の損害賠償と自動車保険の知識

新型コロナウイルスの感染拡大を受け、遠方への業務上の移動には、もっぱら車を使うようになりました。自動車保険の使用目的も変えなくては…と思いつつ、安全運転に努めています。

先日、「交通事故の損害賠償と自動車保険の知識」について学ぶ機会がありましたので、紹介します。コロナ禍で交通量も減り、事故件数自体は減っているものの、道が空く分、飛ばす車が増えているためか、全国的に死亡事故の発生割合(都内では件数も)が増えているそうです。

1.交通事故の発生状況

  〇件数は減少傾向…シートベルト着用、サポートカーの普及が背景にある

2015年53万件

   2019年38万件

  〇重大事故の一例…ドライブレコーダーによる検証が進んでいる

   軽井沢のスキーバス事故(大学生13人死亡、26人が負傷)

   東名高速夫婦死亡事故

   「はとバス」のバスが停車中のハイヤーに乗り上げ、ハイヤーの運転手が死亡

   (バスの運転者は、インフルエンザに罹患しており、38℃超の熱が出ていた)

   JR三宮駅前で横断歩道を横断中の歩行者に神戸市の市営バスが衝突6名重軽傷

  〇交通事故発生に伴う損害

   直接損害(人的)…治療費、逸失利益、葬儀費ほか

   直接損害(物的)…車両修理費、損壊物の修理費、積載物の補償費

   間接障害(人的)…労働能力・モチベーションの低下、企業イメージの低下

   間接障害(物的)…業務に係る損失、費用の発生(保険料が上がる)

  〇交通事故による高額賠償判決例…1億円を超える事故も珍しくない。無制限

   後遺障害…障害が治ったとき身体に存する障害

   逸失利益…事故がなければ得られたはずの将来の利益

        死亡=(収入額-被害者本人の生活費)×一定係数

        後遺障害=収入額×労働能力喪失力×一定係数

2.交通事故の責任

  〇交通事故に伴う法律上の3つの責任と道義的な責任

   刑事上の責任

   行政上の責任

   民事上の責任…民法709条、715条、自賠法3条

   道義的な責任

3.交通リスクと損害

 〇企業の責任を問われるケース

   企業自体の社有車での事故

   社員のマイカー通勤での事故…マイカー通勤規程、任意保険証券の写しの提出も

   社員マイカーの一時的な業務使用中の事故

   昼休み等、会社の許可を得て社員がマイカーで病院等へ行った時の事故

 〇民事上の責任と「くるまの保険」との関係

  自賠責保険…最低限の補償(対人、4000万円まで)

  任意の自動車保険…自賠責保険の補充

4.自賠責保険と任意の自動車保険

 〇自賠責保険…無過失責任近い責任、支払限度額がある

  交通事故被害者の確実な救済→1955年制定、1956年強制化

  被害者に重大な過失がある場合のみ減額される

  自賠責保険で補償されない事故については、政府の補償事業で補償

 〇任意の自動車保険

  相手方への賠償…対人賠償責任保険、対物賠償責任保険

  自身の補償…人身傷害保険

 〇過失相殺と保険金支払いの関係

 〇十分な賠償資力を…対人賠償保険・対物賠償健の契約金額は「無制限」で契約を

5.損害賠償の解決

  交通事故→示談→成立→示談所作成

        ↓

       不成立

        ↓

       裁判所

       調停・訴訟・少額訴訟(60万円以下)

       ADR他