≪日曜連載vol.5~創業計画書作成のポイント③~≫
前々回から具体的な創業計画書作成のポイントを、飲食店の記入例を参考にしながら、3回に分けてお届けしており、今回は3回目となります。
7.必要な資金と調達方法
融資を受けようとお考えのお客様からはよく「いくらまで借りられます(借りられそうです)か?」と訊かれます。保有する不動産を担保に借り入れをする場合とは異なり、創業融資については、「必要な資金を算出し、公庫からは幾ら借りたいかを提出した上で、審査を受ける」形となります。
そこで、まずは創業にあたり、必要な資金を「設備資金」と「運転資金」とに分けて算出いたします。「設備資金」とは、店舗、工場、機械、車両といった設備を揃えるのに必要な資金を指し、これらは数字の根拠となる見積書等の添付が必須となります。
例)居抜きで借り受けて出店するケース…保証金、礼金、家賃債務保証、内装造作資産代金、仲介手数料、造作資金成約手数料、火災保険 など
「運転資金」は、家賃や人件費、広告費等の経費等の支出に必要な資金を指し、創業から2~3ヶ月分に限り、認められます。(飲食店や物販の場合、「仕入れ」も運転資金となります)
例)賃料、管理・共益費、仕入れ、広告費、水道光熱費 など
必要な資金が左側で算出できたら、その合計金額をどのように調達するかを右側の欄に記入していきます。自己資金やそれに類する親族等からの借入は多いに越したことはありませんが、300万円くらいまでであれば、自己資金ゼロでも借りられる場合もあります。また、既に他の金融機関で借入をされている場合や同時に申し込んでいる場合はそちらも記載を行います。
減額覚悟で設備資金や運転資金を高く見積もり、融資希望金額を多めにして申込み、減額覚悟でいく(減額されなければラッキー)、という戦術もあるとは思いますが、「そういう考えを持った経営者」と見られるので、私はお勧めはいたしません。
8.事業の見通し(月平均)
続いて、創業当初の収支と1年後(または軌道に乗った後)の収支とを記入し、収益性があるビジネスであることを示していく重要な欄となります。
貸し手側からすると、資産を有する連帯保証人や担保となる不動産がない場合は、事業(ビジネス)モデルの収益性から融資の可否や融資上限金額を決定していくのがセオリーです。また、数字だけでなく、その根拠(計算式など)を示すことからも、経営者の思慮深さや視野の広さといった「資質」がここで見て取れるといっても過言ではありません。
なお、創業計画書では創業当初と1年後(または軌道に乗った後)の2つの時点についての記入が求めらていますが、ケースによっては、より詳細な「月別収支計画書」の提出を求められることもあります。経営者自身にとっての道標ともなりますので、提出を求められていなくとも、「月別収支計画書」を作成しておくことで、ぶれない経営と仮にぶれたときも軌道修正が掛けやすいと思われます。
以上です。日曜連載、次回からは、「契約書」について、見ていきたいと思います。お楽しみに。